2005年07月04日

中国人の心理と行動<関係>編

「中国人の心理と行動」(園田茂人著:NHKブックス)の内容を引き続き紹介します。

「関係」。
これも日本語にも存在する言葉なので、簡単に想像しがちだが、中国の「関係(グアンシ)」はもっと奥が深い、とのこと。

特にビジネスの世界でこの「関係」は非常に重要。
例えば、大連に新しい大型ショッピングセンター(SC)を開店させようとする場合。
大連市の許認可が必要になる。
普通に書類を作成して役所に提出しただけでは、許認可までとんでもない時間がかかるか、もしくは許認可そのものが下りないだろう。

そこで、中国側のビジネスパートナー(中国人)、たいていは総経理(社長)が自らの人脈を通じて役所で許認可の決定を下す責任者とつながりのある仲介者を見つけ出す。(これを「找関係」(ジャオグアンシ)という)
仲介者を通じて、役所の責任者との会合の席(会食)を設けるわけだが、事前に役所の責任者の趣味志向を仲介者に確認しておくことは当然だ。
高級レストランでの接待。
席も決まっている。
ホストの両脇に仲介者と役所の責任者。
会食の前にはホストが「歓迎の挨拶」を、次に主客(役所の責任者)がそれに対して返答の挨拶をする。

挨拶は「給面子」の応酬だ。
「本日はお忙しい中、この素晴らしい大連市を築き上げてきた〇〇先生をお迎えでき実に光栄であります。」
とホストが挨拶すれば、
「日本で偉大な成功を収めた◇◇さんと知り合うことができて、大変うれしい」
という具合。

会食の最中は、ホストは積極的に「酒を注ぎにまわる」ことになる。
決して手酌をさせてもいけないし、してもいけない。

この本では接待の場での上手な酒の断り方も紹介されていた。

<悪い例>
「自分はあまり酒が飲めない」「この後仕事がある」
というような自分の都合で断わってはいけない。

<良い例>
「あなたの注ぐ酒はうますぎ、かなり酔っ払ってしまった。」とおだてる。(やぶへびになる可能性あり(笑))
「酒を飲む代わりに歌を唄いますよ」これは二次会のKTV接待で使えそうだな(笑)。
「これ以上飲むと死んでしまう。日本で待つ子や妻のためにも、今ここで死ぬわけにはいかない。」みたいな大げさな表現も良いらしい。

まったく酒が飲めない人は、「医者に止められており、残念ながらまったく酒を飲むことはできない。

しかし、今日は、この素晴らしい料理をいただきながら、大いに語り合いましょう」と切り返せばホストの面子も保たれるだろう。

会食の後に「おみやげ」を渡すことを忘れずに。(送礼(ソンリー)と言う)
これは事前に調査した客人の好みのものを用意しておく。

中国では「おみやげ」をあげて2回目に会うときは、すでに「朋友」になるらしい(笑)。


花花の出張先の会社では、2回目の会談は昼間、オフィスでだった。
オフィスが手狭なときは酒店などでも良いと思われる。
ポイントは騒がしくなく、ビジネスの話ができることだ。
もちろん夕方から夜にかけては接待だ。
ここでも別の「おみやげ」を用意しておくことを忘れずに。
「おみやげ」は「現金」ではなく「物」にしておくこと。

リベートやバック・マージンは、後日、「顧問料」などの形で渡すことになる。
これは固定費として毎月出て行くものとして覚悟されたい。

このように人脈を利用して目的を遂げることを「拉関係(ラーグワンシ)」と言う。
また人脈のことを「関係網(グワンシワン)」と言う。
関係網を利用する方法を学ぶことを「関係学(グワンシシュエ)」と言うそうで、これの上手な人は商売上手と言われる。

「中国人はあつかましい」「傲慢だ」と誤解される大きな原因として、関係の使い方が下手な中国人が多いためだと思われる。
事前の関係構築が充分でないままに関係を無理やり利用しようとするから一般的な日本人は違和感をおぼえる。
私の朋友の一人は関係の使い方が上手だ。
かつて日本で仕事をしていたのだが、私によく食事をおごってくれた。
代わりに私は電脳の便利な使い方などを教えていた。
その朋友は中国と日本の間の商売でもしっかり儲けていた。
しかし、中国側の役人の「関係」構築には数万元以上の投資をしていたようだ。
中国←→日本の往復の際には必ず「おみやげ」を持参。
飲食の接待もこなし、確実に自分の「関係網」を広げていった。

貿易の仕事などで荷物が税関を通り抜けられなくて困ったことはないだろうか?
こういう場合も、即、「関係」の構築が有効である。
食事&送礼。
およそ自分の仕事や日常に欠かせないところについては、日ごろからの「関係構築」が大事だということ。
特に外国人の場合は重要だ。
私も万が一「公安」のお世話になってしまった時、頼りにできる「関係」はいくつかある。

さて、そうは言うものの「関係の押し付け」も問題だ。
いわゆる「ゆすり」「たかり」。
思いもよらなかった役所のとある部署の担当者から「あなたの会社には違法行為がある」と、ある日突然言われて、びっくりした経験はないだろうか?
役所の親分と「関係」を作ってしまえば問題なさそうだが、いろんな役所があるのでこれまた大変。
そこで、外資系企業の間でよく使われている自衛手段は、共産党指導部のお偉いさんと自分の会社の老板が「握手」している写真を会議室や社長室に飾るというもの。
「あんなお偉いさんと関係あるのなら、下手にたかったりしたら「密告」されて人生終わりだな」と思わせるのが狙い。
これはかなり効果的な「魔よけ」らしい(笑)。
実際のところ、大手企業でもない限り、そうそうお偉いさんと一緒に写真を撮る機会なぞないな(笑)。
大連市長との2ショットじゃダメかな?
コラージュ(合成)するって手段もあるけどー、そうすると今度は「増加面子(ツォンチャーミエンツ)」で、「お友達になりましょう」って申し込みが増えて厄介かも知れない。

会社の中での「関係」の例として「公私」の問題がある。
例えば、「会社の電話を使って個人的な用事の電話をする」「会社の備品を持ち帰る」などは、日本では「公私混同」として厳しく非難される行為だ。
これは「みんなの物を自分勝手に利用してはいけない」とする入会地(いりあいち)の伝統である。
ところが中国には入会地の伝統が無く、「みんなの物を自分勝手に利用してはいけない」という論理は理解しにくい。
むしろ「みんなの物なら、なぜ自分が利用してはいけないのか」という論理だ。

「この電話や会社にある品物はすべて総経理のモノだ。だから君たちはそれを仕事以外の用事で勝手に使ったり持って帰ったりすることはできない。」

と告知したほうが良く理解されるに違いない。


「関係」=人脈 は日本でも大事であり、「なんだ日本も中国も同じではないか」と安易に考えてしまいがちだが、中国と日本では「関係」によってもたらされる「資源」(物資や影響力)の規模が違う。
日本や欧米では世間の目(マスコミや市民団体)の目が厳しく、思い切った商売上の取引(合法非合法を問わず)がやりにくいが、中国ならば鍵となる人物との「関係」さえ構築してしまえば、物資だろうが事業許可だろうが思いのままである。
共産党幹部・地方行政役員・公安警察・軍部・マフィアなど、「関係」を構築できないものはないのが中国である。

このような「関係」を「不正だ」「馴れ合いだ」とあっさり切り捨てる方は、たぶん中国に向いていない。
この日本の不況下で、会社のやりくりに奔走されてる経営者ならば「実にわかりやすい。」「いいねぇ。」と思われる方も多いのではないだろうか?
そういう方は、たぶん中国に向いている。

私も大連で生活するようになったら、しっかり「拉関係」を身に付けたい。
そのためにも「関係」を持つに値する資源(お金やモノはないから能力かな?)をたくさん用意しておかないとね。

P.S.
どうもこの手の「堅い話題」は文章の準備に時間かかってしまうので、ブログ更新が大変(苦笑)。
この本の内容って経験談は楽しくてわかりやすいのだけれど、理論や理屈の部分の話は込み入っててわかりにくいんだよね。読んでてすご〜く眠くなる(苦笑)。
理論や理屈は自分なりに要約して、具体例として大連での経験を少し加えてます。
この本は指南書として必ず大連に持っていきます。(典型的なマニュアル人間の行動やなぁ)
ただし、中国人の前では見せません。「面子」の問題あるからね。
posted by 花花牌子 at 17:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 大連
この記事へのコメント
なんかすごく分かりやすいように説明してくれましたね。自分がやっていることと一緒じゃないか、ドキドキしながら最後まで読み上げました。
Posted by 大連人 at 2005年07月05日 00:39
大連人さん。
いつもコメントありがとうございます。

大連行くまでに、「日本人の心理と行動」<商習慣>編なんてのを調査しておくと、後で役に立ちそうな気がしました。
日本人に給面子して商談する時のノウハウ(コツ)として中国企業にコンサルティング(指導)すると良いかも知れません。
Posted by 花花牌子 at 2005年07月05日 01:41
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